2018.4.721

ARAKAWA DESIGN CREATIVE JAM

ARCHIVE #12

2018年4月21日のADCJ第12回は、料理研究家の臼居芳美先生をゲストにお呼びいたしました。師匠の小野さんも参加し、ミヤラジの中村さんと共に賑やかな放送をお届けしました。

MC  時刻は午後7時になりました。毎月第1、第3土曜日のこの時間は、荒川デザイン・クリエイティブジャムをお送りしております。ということで始まりました。こんばんはー!
荒川  こんばんはー!荒川デザインの荒川サトシです。よろしくお願いしまーす!
MC  お願いしまーす!
荒川  今回で12回目ですが、最初にこの番組の紹介をしようと思います。テーマが「クリエイティブを声で届けたい」。僕はデザイナーなので、グラフィックとかは表現してるんですけど、声だけでそういう価値が伝えられたらいいなーというのを軸にやっております。
MC  なるほど!ありがとうございます。
荒川  番組中に質問、メッセージをお待ちしてまして、ミヤラジアプリからメッセージが送れます。あと、メールアドレスが773@miyaradi.comです。これでメッセージが送れますのでゲストへの質問やメッセージをいただければなーと思います。
MC  もしFAXでメッセージを送られる方がいらっしゃいましたら028-666-7878で、メッセージをFAXでもお受けできます。
荒川  オリジナル番組ステッカー、これが2種類あるんです。前回中村さんに見せれなかったんですけど、これです。このステッカーを欲しい人は住所をメッセージに書いていただければ送ります。
MC  この(ステッカーの)jamっていう筆記体が素敵ですね!
荒川  ありがとうございます。ぜひメッセージをください!

荒川  今日のゲストですが、料理研究家の臼居芳美先生です。(拍手)
臼居  こんばんはー!よろしくお願いしますー。
MC  それでは臼居先生のご紹介をさせていただきます。料理研究家の臼居芳美さん。料理家で栃木県生まれ。女子美術大学を卒業され、大学在学中からNHK「きょうの料理」のアシスタントをお務めになってらっしゃいました。現在は、料理教室を主宰する他、道の駅やレストランなどで料理講習会を実施されています。とちぎテレビ、CRT栃木放送、FM栃木へのご出演、そしてとちぎ朝日、栃ナビ、下野新聞におけるレシピや随想の連載。メディアへの露出も多数なさってらっしゃいます。また、県産の6次産業化のためのレシピ開発を始めとする様々なプロジェクトに携わりながら、地域の素材と料理を繋げ発信してらっしゃいます。NPO法人「良い食材を伝える会」の会員でいらっしゃって、最近の著書では、「HAPPINESS AT THE TABLE 〜今日も幸せのテーブルで〜」を出版されています。
臼居荒川  ありがとうございます。
荒川  今日は、更にセミレギュラーとして僕の師匠、小野良昌さんに来ていただいています。
小野  こんにちは。2月以来です。また東武電車に乗って4時間かけて来ました。もう春ですね。田植えや麦が少しずつ育ってくるのを見ながらまた来てしまいました。臼居先生とは初めてですけど、料理のいろんな話ができるかな、とイメージを膨らませつつ、ちょうど僕も「大人の週末」という月刊誌の仕事をしてきたばっかりで、それで料理の撮影とかもしたばっかりだったので、ちょうどいいかなーと思って。
荒川  次回作のときは撮影のオファーを。
臼居  よろしくお願いします。
小野  ぜひ、一緒に組んでやりましょう!その時は4時間かけては来ませんが、新幹線で来ます。(笑)でも東武電車はいいですね。
臼居  でも、東武線で(宇都宮まで)いらっしゃるって根性ないとできないですよね。普通JR乗りますよね。(笑)
小野  いやいや、そんなでもないですよ、慣れれば。それは料理も一緒じゃないですか?手間をかけることに慣れれば。
臼居  手間を惜しまずですか?
小野  そんな気がします。よろしくお願いいたします。
一同  よろしくお願いいたします。

荒川  色々話したい話はあるんですけど、ますは臼居先生が料理に目覚めたきっかけの話をお聞かせ願えれば。
臼居  そうですね、私と料理の出会いというのは、私は美術大学でデザインを学んでいたんですけど、どうも私は美術の才能では食べていけないかなーっていうか、テレビ局っていうところにすごい憧れて、昭和52年くらい、当時あんまり就職もよくなかった。それで、ちょうど私の叔父がNHKにいて報道番組の担当になったんですけど、テレビ局にすごく憧れてたんですよ。颯爽とテレビ局を出入りする、みたいな女性に憧れていて、「叔父さん、私なにか仕事したいんだけど何かないかしら?」って(叔父に)言ったら、「じゃあとりあえずアルバイトで入ってそのまま引き続き就職というか契約というルートもあるから…」と言われて、学生時代にまず(NHKの)中国語講座に就いたんですよ。で、その頃のテクニックっていうのが、今みたいにオートメーションじゃなくて、テロップも、紙をずーっとゆっくり引いて文字が出てくるっていう、そういう時代だったんです。
MC  マニュアルですか?
臼居  そう、マニュアルなんです。その引く人のスピードによって文字が出てくる。今考えると考えられないですよね。まぁでも40年くらい前の話ですけどね。あとは文字もテロップも、こう…手で並べて機械のケースに入れるっていうそういう仕事をしてたんです。でも何かちょっと文学的じゃない。私はもっと活動的な料理とかそういうのがやりたいって言ったら、ちょうど「きょうの料理」のアシスタントの仕事があって、それなら…って紹介してもらって入ったんです。それで「これが私の仕事だわ」ってその時に思ったんです。すごく楽しくて。学生だったから、週に1回か2回くらいしかできなかったんですけども。それで卒業を迎えて、今度は正職員ではないんですけど契約っていうことで、助手・アシスタントっていう仕事で4人くらいいるんですけど、ちょうど空きが出て私が入れるようになったので、そこが料理との出会いですね。

楽しくって。スタジオ側と料理の先生の助手ってそれぞれいるんですけど、スタジオ側の助手っていうのはいわゆるカメラワークっていうんですか、映ってない時に鍋を入れ替える、食材を出す、オーブンを引く、出来上がりのお皿を並べるとか。そういうのがスタジオ側の助手なんです。で、料理の先生の助手は、ちゃんと切って、先生が使えるように人参はみじん切り、玉ねぎはみじん切り、炒めてあります、みたいなのをやるのは実際に先生が連れてらっしゃる助手さんなんです。だから、直接、料理のお勉強っていうのとはまたちょっと違うんですけど、でもそのからくりっていういんですか、番組を仕立てるのに必要なポジションなんです。カメラを見ながら「今映ってないから今のうちにかえなきゃ」とか、そういう仕事をしてたんです。

臼居  その時代の料理番組ってすごく有名な先生、著名なホテルのシェフ、帝国ホテルの村上シェフとか辻留の辻嘉一先生とか、先生というよりシェフ、料理長とかそういう立場の人が多かった。今はいろんな人が出てますけど、その頃のは本当に有名な陳建一さんとかそういう方が多かったんですよ。だから、そういう先生方と接触するっていうのが、今思えばすごく贅沢な環境だったなーと思います。で、その頃はNHKも景気がよかったので、地方に行くっていう仕事もあったんです。先生と、局側2人と助手さんと4人くらいの、地方の番組収録の出張があって、北海道とかも何度も行きましたよねー。釧路に行ったり、普段観光では行かないようなところに行って、公会堂みたいなところで、ステージの上で先生が料理作って、視聴者が座席にいるんです。それで試食で3人4人くらいに食べてもらう…とかそういう楽しい番組があって…。今はもうないですよね?
荒川  特番みたいな形で地方に行ってっていうのはたまに見ますけど、きょうの料理とかで。
臼居  それが、月に1回か2回くらいあったので。
小野  当時はライブでやってたんですか?生放送?
臼居  ライブではないです。でもすごく楽しかったです。

臼居  それから料理の仕事がしたくて、結婚して宇都宮に来たんですけど、その頃って新幹線がまだ大宮までしかなかった。大宮から埼京線に乗り換えて渋谷行くんですけども、それこそ3時間…。新幹線に乗って渋谷に行くと、一日の仕事量が終わっちゃう…みたいなそんな感じでした。まぁ時間が大切だったんで。それで、渋谷で食事しようって飲んでたら8時半、9時位になって私帰らないと…って。(笑)そんな事を何年かして、子供ができたりしたんでやめましたけど、今でも復帰したいなーって思いますよ。
荒川  何か見てみたいですけどね。
臼居  たまに友達なんかを連れてスタジオ見学に行くんですよ。すると、おんなじようなタイミングでみんなやってますね。上手に2人、下手に2人、みんなすきを狙って出し入れしたり…。
小野  今、ネット上で料理を作るレシピコンテンツはすごい人気のあるコンテンツの一つですけど…。
臼居  そうですよね、クックパッドとか、色んな人が見てますよねー。
荒川  映像で全部、これ何グラム、このタイミングで入れましょう…みたいなのとかも…
臼居  ユーチューブなんかもありますもんねー。
荒川  最初から出来上がりまで全部映してますね。俯瞰(上から見た感じ)でフライパンが出てきたり、アングルは一緒で。
臼居  インスタグラムなんかも、今は趣味でお料理を出すっていう人がいますけど、プロ並みの盛りつけだったり、すごい色彩豊かにきれいに盛りつけてますよねー。

小野  でも、テレビで…、当時ネットもないわけだから一番料理にしても、本で見るとかテレビで観るとかで、中々ラジオで料理の話とかはなかったですよね。テレビのこう…一番いい時(時代)だったのかもしれないですね。
臼居  そうですね。でも何か、お料理ってそういうネット上でもいっぱい普及してますけど、やっぱり本ってね、売れるみたい。淘汰されないみたい。本と言えば…。(笑)
荒川  本と言えば…!(笑)今年の1月に一冊、本を出版されました。中村さん、これはご存知ですか?
MC  ごめんなさい、中はまだ見てないですけど…。
荒川  これ。今、ぜひ見てみてください。
MC  この何とも言えないウッディーな感じのテーブルの上に…。
荒川  撮影も全部ご自宅でしました。
MC  フランスパンをカットした上になんか色々のっていて、何とも美味しそうな…。これなんていうんですか?
荒川  カナッペです。レシピも載ってますよ。
MC  「料理は幸福」って(本の)最初に書かれてますね。ちょっと読ませていただいていいですか?
臼居  はい、どうぞ。
MC  「料理は幸福。美味しい料理と温かな時間と、そしてそこに集まる人の笑顔とおしゃべりと、こんな風景が好きだから、今日もまた幸せのテーブルを用意する。」
MC・荒川  いいですねー!
臼居  ありがとうございます。(笑)
MC  何か心が温まるというか…。
臼居  このお野菜の写真あるでしょ?これ、私のお友達の農園で採れた野菜なんですけども。
MC  人参なんですけども、普通の人参レッドと、黄色、そして細い人参とか…とってもいいですね。
臼居  自然の色って美しいですよね。中々表現できない色合いですねー。
MC  この紫とか何とも言えないですよねー。でも難しいですよねー。ラジオなんでねー。(きれいな色がお見せできないのが。)これ、写真集としてもとっても素敵ですね。
荒川  最初にこの本を、安納さんと臼居先生と作ろうって言った時に、いわゆるレシピを紹介するものだけじゃなくて、写真集、ビジュアル。あと、エッセイも入ってるので、読み物としても楽しめて保存版というか、実用性とアート性を兼ね備えた本にしよう、っていうコンセプトで。
小野  これは、レシピとしては何点載ってるんですか?
臼居  60点くらい載っています。結構凝縮されてますよね、小さい本ですけど。
小野  これ、僕も先ほど見せていただいて、どんな料理というか、いつどんな時に食べてくださいね、みたいなそういう構成は…(どうなっているんですか)?
臼居  一応コンテンツがありまして、アペロ(前菜)がああれば…とか、パーティーはこんな…とか章立てで、こんな感じになってます。
小野  おしゃれですね。
臼居  写真がきれいなんですよね、すごく。そして荒川さんのデザインがまた、いいですよね。

荒川  レシピも作りやすい、わかりやすいレシピがほんとに多いので、これがリリースされて、いろんな人が作ってみたとか、色々聞くんですよ。例えば、息子さんにこのレシピ本に載ってるこの料理を作ったら、普段はおかわりって言わないのにおかわりって言ってきたとか。
臼居  え?!そんなお話あるんですか?うれしいわー。
荒川  僕がレシピを作った訳じゃないですけど、(本を)リリースしたことによって息子さんとお母さんのコミュニケーションがはかどるみたいなのは、ちょっと幸せだなーと。
小野  やっぱり食べて美味しいって言われたらまた(作りたくなる)って感じになりますよね。
荒川  その話を聞いた時、よかったーって。
臼居  よかった。私のレシピってね、意外とね、簡素化と言いますかだんだん進化するんですよ。簡単に進化する。ここは省いてもいいんじゃないかっていうところは省きますし、こことばしてもあんまり出来に違いがないっていうのはどんどん省いていきますので、割と作りやすいレシピです。ホントにきっちりと細かくやってる人はいるんですけども、あんまり細かいとやる気がなくなるし疲れちゃうじゃないですか。だからすごく省略形だと思います。時短というか。(笑)
荒川  ムダがないレシピだなーと思って。で、かつ、仕上がりがすごく素敵に仕上がるっていうのは、デザインとかもそうなんですけど、1〜10までこだわりすぎるといいものでもない訳ですよ。適材適所というか、力を入れるところはここ。とかっていうのが分かってくると力の抜き具合とかも分かってきて自然にいい形でデザインも出来たりするので、料理も一緒だなーと。
小野  何か僕、今一つ先生に具体的に聞こうかなとふと思ったのが、最近ニンニクを切ります。切る前に最初皮をむくじゃないですか。最近使ったのがスペイン輸入ニンニクだったんですけど…
臼居  最近出てますよね、輸入の紫がかった…。美味しいですよね。
小野  美味しいですよね。あれが、よく乾燥してあるんで皮がむきにくいんですよ。一番外の硬いところは何とか向いちゃいますけど、一番実についてる薄いやつとか、固いやつとかもまぁいいやって思って、オリーブオイル掛けて火を通したら美味しさには変わりないのかなーって。(笑)
臼居  固くなければいいですけどねー。(笑)
小野  ニンニクの内側の皮なんでそこまできっちりむかなくていいんじゃないの?っていう風に最近思うんですけどね。
荒川  むきやすいアイディアとかないんですか?ニンニクの。
臼居  よく、ゴムの筒みたいなホースみたいな筒にいれてゴリゴリするとむけるっていうのもあるんですけど、でも結局手でむきますよね…。
小野  そうですよね。(笑)
臼居  根っこの方をちょっと取るとポロッと取れるかもしれない。
小野  そうですね、ちなみに頭の部分もほんの少し切るとむきやすかったんですけどね。あと、ニンニクと言えば青森とか国産だと有名ですけど、だいぶん違いますよね。食べると。
臼居  私も最近スペインのちょっと紫がかったニンニクよく買いますよ。
小野  ワイン、酒にもぴったり。(笑)絶対ほんとにこれ(このレシピ本)、つまみ本ですよね?
MC  臼居先生、これ(この本)絶対酒の肴に…
臼居  酒ありき。
MC  いいですねー。

MC  (このレシピ本)とっても色彩が食欲をそそるというか…料理ってやっぱり色が大事なんですね。
臼居  そうですね、見た目も美しいんですけど、いわゆる栄養もそうなんです。色彩が揃うってことは栄養のバランスも揃うっていうことに近いんですよ。
小野  そうすると、モッツアレラチーズとトマトと、やっぱりバジルもあったほうがいいんですよね。
臼居  そうですね、で、それがイタリアの国旗なんですよ、それが。
小野  あー!
荒川  元々そうなんですか?
臼居  (国旗の色は本当は)愛と平和と…とか何とか(意味が)別であるんですよね?
MC  荒川さん、そろそろ一曲いきますか?
荒川  そうですね、臼居先生のリクエストで。
臼居  あ、イルカって私の大学の3つ、4つくらい上の先輩なんですけど、私が1年生で入った時に文化祭のステージでイルカが「なごり雪」を歌ってたんですよ。「なごり雪」じゃなかったかなー…。もう忘れちゃったけど…。「イルカだわ」ってすごい、同窓生なんだわってそれが衝撃的で…。で「なごり雪」大ヒットしましたもんね。
MC  では、その曲をご紹介します。イルカで「なごり雪」。

MC  時刻は午後7時28分をまわっております。毎月第一、第三土曜日の午後7時台は荒川デザイン・クリエイティブジャムをお送りしております。今週のこの時間のゲストは料理研究家の臼居芳美さんです。そして、(荒川の)師匠の小野良昌さんでお送りしております。この番組は、株式会社ツインズとロジスティクスカンパニー、株式会社アンノウ。新たに人とモノと文化のポータルポイント事業を展開しています。こちらの2社のスポンサーの提供でお送りしておりまーす。
荒川  ありがとうございます。
MC  ただいまの曲は、臼居先生のセレクトでイルカの「なごり雪」でした。懐かしい曲でした。ありがとうございました。

荒川  海外でも臼居先生、ご活躍されていて、スロバキアで何度も活動されてるんですけど、その辺りの話というか…、なぜスロバキアなのかちょっと聞きたかったんですけど…。
臼居  そうですね。宇都宮市にスロバキアの名誉領事の石川さんていう方がいらっしゃって、名誉領事というのはお役人じゃなくて民間職というか名誉職なんですけど、その方の紹介で、スロバキア人の青年を紹介してもらって、私が料理の仕事をしているって言ったら、スロバキアの首都ブラチスラヴァに料理学校があるので、そこで日本人の料理を教えてくれる人を求めているっていうお話をいただいて、初めて行ったのが2011年の2月に行きました。和食ってね、ヨーロッパに行くとステイタスというか、寿司が巻ける、巻き寿司ができるとか、箸が上手っていうとみんなにすごいって言われるくらい日本食って人気なんですよ。で、最初に行ったときに、私も初めて行く国だったので、ウイーン空港から車で一時間くらいのところなんですけど、複雑な深い歴史のある国で、皆さん、スロバキアってどこなの?チェコスロバキアは知ってるって言うんです。1993年にチェコとスロバキアが分離独立してスロバキアっていう国になったんですけど、やっぱりまだ社会主義の面影が残っているな、っていう第一印象だったんです。で、女性が美しいです。グラマー、背も大きいし美しい女性っていう印象です。あと、街の真ん中にドナウ川がとうとうと流れてるんですよ。それがすごく美しい。その印象があるんですけど、人々もすごく優しくて親日家が多いです。

臼居  それで、料理教室のお話なんですけど、日本で言うと、調理台があって、4、5人で、先生がいて、「皆さんこれやりましょう」「次はこうですよ」ってやるんですけど、そこの料理学校は夕方4時から始まるんですよ。で、終わるのが9時。だから5時間くらいなんですけど、料理教室というよりは社交場みたいな感じで、行くとワインがあるんです。で、みんなカンパーイって言って、グラスに自分の目印のマーカーをつけて…。でも私、これから料理するのに飲めないって言っても、「いいじゃん、飲め飲め〜」って言われて。(笑)そういう雰囲気です。
荒川  いいですねー。
臼居  で、天ぷらがみんな好きなんで天ぷらをやったんです。そしたら揚げてる側からみんな食べちゃうんです。ダメよ、まだ、って言っても。
荒川  でも一番美味しいですよね。(笑)
臼居  そうやってたら私も、「いいわよ、一番今が美味しいわよ!食べて食べて」って言って、みんなワイン飲んで。(笑)で、レシピを焼いて(コピーして)持っていったんですけど、みんなそんなの見ない。(笑)みんな料理をしている人を見ていて、つまみ食いをして、「あ、天ぷらって美味しいね」みたいなそういう雰囲気でした。でも巻き寿司はみんなやりたいので、私みんなにお土産で20枚くらい巻き簾を買っていって皆さんに差し上げたんですけども、最初ね、アメリカでは裏巻きっていうんですけど、表が白くてごまをまぶしてあるカリフォルニアロールみたいな。それを用意したんですよ。そしたら、「なぜ黒くないんだ?なぜ海苔を出さないんだ?」って逆に言われて、「え?そうなの?じゃあこっちなら簡単よ」って言って…。アメリカと感じ方がちょっと違いましたね。
荒川  でもちょっとうれしいですよね。日本の…。
臼居  そう、うれしいです。日本のお寿司はこうですよ、じゃあ海苔を表にしましょうって。食材も、あるものを使わないと、例えばカンピョウとか持っていって、もし向こうになかったら使えないので、きゅうり、人参、卵みたいな感じで、誰でも使えるものを素材にしたんですけど、それを千切りにして塩で締めて色もキレイだし。それをみんなやりたがりました。でも、お好み焼きとかになると、また焼き上がったら食べちゃう。(笑)だから、試食の時には既にみんなもう味を知ってる。で、そのままの流れで、隣にお部屋があるんですけど、そこに行った時には、みんなお皿が寂しそう…でも味は知ってるよ。という雰囲気で日本ではありえないスタイルです。
荒川  そうですよね、待ちますからね。
臼居  で、9時までおしゃべりしてゆっくり時間を過ごして…。それでだいたいね、授業料が高いんです。平均給料18万くらいかな、日本の約半分ちょっとかな、それくらいのところで、受講料が2万円くらいする。
MC・荒川  えー!?だいぶん(高い)…。
臼居  だから裕福な人、余裕のある人が来るっていう社交の場だったんです。
荒川  楽しみ方というか…ちょっと(日本と)違いますよね。
臼居  違う。料理教室というか、教室の概念が違う。で若いカップルもいるんですよ。え?お金持ち?とかも思ったら、結婚のお祝いに(料理教室の)チケットをもらったから来てるって。
荒川  それくらいのものなんですねー。
臼居  だから、日本の道の駅だとかABCクッキングとか(の料理教室)そういうのとは全く違う。

小野  お米はどうなんですか?
臼居  お米は結構食べますよ。向こうでは(お米は)野菜的な捉え方で、炊くというよりは、熱湯で茹でてザルにしばらく置いて。もちろんパン、じゃがいもを主食にしますけどお米も結構食べますよ。お肉料理の付け合せみたいにお皿にご飯がのるんですけど、カップに入れてポコンって丸くするんです。それが2個並ぶから、なんだかおっぱいみたいにまたそれが可愛いんですよ。(笑)
荒川  意図的なものではないんですよね?(笑)
臼居  違うの。(笑)それで、あちらの方ってあんまり生野菜は食べないんです。スープにしたり肉と一緒に煮込んでピュレにしたり、そういう食べ方で、私はどうしても生野菜が食べたくて、サラダって注文すると、チーズとヨーグルトのドロッとしたドレッシングとかがかかってたりして、そうじゃなくて塩だけでいいのに…。シャキシャキ感があんまり好きじゃないのかしら。あんまりないです。

臼居  そんな食文化の話すると一時間では足りない感じなんですけども、それから、2011年2月に始まり11月に行き、まぁ7回くらい行きました。で、去年はあちらの大使館主宰の日本文化紹介っていう事業があって、そこに料理部門で出てほしいって講演のお話をいただいて。日本て、弁当文化があるじゃないですか。日本は美しいお弁当を作るんですよ。キャラ弁とかも言いますけど、駅弁から始まり、お花見、運動会、遠足って必ずお弁当ありますよね?その弁当を作ろうと思って松花堂弁当を持っていって、あとはせっかくだからキティちゃん弁当もキャラクターの弁当箱を買って持って行ったんですよ。松花堂弁当のほうは天ぷら、サーモンでお寿司とかお刺身、巻き寿司、鶏の照焼き。キティちゃん弁当は、キティちゃんの型を抜いて、海苔で耳と目を作って…みたいなのをやって。で(講演が)終わってから写真撮っていいですよってなったら、みんなキティちゃん弁当を写真撮りに来るんです!(笑)「あれ?こっちじゃないの?」って思いましたけど。何かキャラクター的な夢のあるお弁当が(あちらには)ないんですよ。パン、バナナ、ハム、チーズを入れたランチバックで持っていくみたいなので、(日本みたいに)こんな綺麗にお母さんたちが朝、一時間も早く起きて作るみたいなことがないんで、ウケがちょっと違う。私が一生懸命厚焼き玉子焼いててもそこじゃない。(笑)
荒川  キティちゃんのほうが強いんですね。(笑)キャラクターが強いっていうのがよく分かりました。
臼居  反応って面白いですよねー。

荒川  太巻きをスロバキアの方が知ってるっていうのはどこで知るんですか?
臼居  お寿司のテイクアウト屋さんとかありますよ。
荒川  あ、お店があるんですか。
臼居  お店もあるし、あとね、お寿司屋さんに一度行ったんですけど、長い海苔巻きってあるでしょ?あれを天ぷらで揚げちゃうの。だから衣が付いてるわけ。一本まるごと。で、サクサクサクって切って出てきてびっくり!
小野  それは新商品?!
臼居  寿司を棒ごと揚げちゃうっていうのがすごいですよね。まずくはないですよ、油のコクが加わるから。油っこいのがウケるのかな?
荒川  サラダも和えちゃうのも油というかドロっとしたのが好みなんですねー。
臼居  で、あるお寿司屋さんに行った時に、板前さんは日本人かって聞いて会いたいって言ったんですよ。そしたらラオス人でした。(笑)そういうこともありました。(笑)東南アジア、中国、韓国そのへんが(向こうでは)アジア。日本もアジア。
荒川  アジア圏でいっしょくたというか…。
小野  料理として日本料理は認知されてるんですよね。それをまたビジネスでやれるくらい、それだけ認知されたってことなんですよ。
臼居  そうですよねー。
荒川  太巻きを天ぷらにしても価値が有るわけですよ。(笑)
臼居  売れればいい、好まれればいいわけですからね。あとね、味噌汁の器が大きいの。何かボウルみたいなのに入って出てきて、みんなスプーンで食べるんですよ。
荒川  具は何が入ってるんですか?
臼居  具は結構少ない。まぁお豆腐と、リーキっていう太い西洋ネギ、ポロネギ。それが切って入ってたりします。
荒川  意外とシンプルな具なんですね。
小野  今、すごい海外で味噌売れてますよね。名古屋の八丁味噌の話をニュースで見ましたけど。
臼居  私ね、味噌の作り方を教えてきたいと思ったんですが、麹は持っていけないんですよ。麹は(海外に)持ち出し禁止の食品になっているので、製品として味噌になってればいいんですけど。ただ、味噌は液体なんで手荷物はダメですけど。
荒川  食べ物も、海外でやり取りとなると中々大変ですね。伝えたいと思ってもそういうところが足かせになっちゃう。

臼居  スロバキアって北にポーランドがあって、カルパチア山脈っていうのがソ連とポーランドの国境辺りにあるので、お水がすっごく美味しいんです。お腹壊さないから直接飲める。けど、実は硬水だから、魚介の出汁、鰹節、煮干し、昆布っていう出汁が出にくいんですよ。最初に行った時に味噌汁作らなきゃいけない時に花鰹持っていって、残してもしょうがないと思ってどーんと入れちゃって、さぞ美味しい出汁が取れたと思いきや、出ないんですよ。でもみんな美味しい、美味しいって食べてくれて終わったんですけど、どうも腑に落ちなくて、帰ってきて調べたら、硬水は魚介の出汁が出ないって書いてて。私知らなかったんです。それから、色々水に対して興味があって調べたんですけど、日本って軟水なんですよね、まぁ大阪と東京でまたちょっと昆布だしだったりかつおだしだったり違ったりするんですけど、全体的に見れば軟水なので水道水でもちゃんと出汁は取れるんですけど、ヨーロッパはフランスもそうですけど硬水なんですよね。硬いんですよ。だからそれからは(ヨーロッパに)行ったら、まず水を買うこと。柔らかい水を買うこと。クリスタルカイザーってあるじゃないですか。あれが比較的売ってる中では柔らかい。ボルヴィックも。だから1.8リットルのボトルをカートで6本とか積めるだけ買ってくるんです。途中でなくなるとまた買いに行って。醤油の煮物、例えば昆布巻きとか豆とか煮る時にも軟水のほうが美味しい気がしますね。
小野  お米はどうですか?
臼居  お米もそうですよね。向こうの人はお米を茹でてしまうので、あまりお米に水は関係ないけども、炊くってことは含ませるわけじゃないですか。その時はやっぱり柔らかい水のほうが美味しい。
荒川  水も食文化と直結するんですねー。
臼居  あと、砂糖もグラニュー糖しか売ってないんですよ。ブラウンシュガーっていうのはありますけど、煮物の時には上白糖とかザラメとか三温糖とかを使いたいので、重いけど持っていく。(笑)
荒川  年末はおせちをパリで作るって言ってパッキングの写真とかもありましたよね?
臼居  そうなんですよー。でもおせち料理ってね、そう思うと、昆布、黒豆、あんこも晒し餡とか結構乾物が多いんです。だから持っていけるんです。税関でドキドキしながら通過するんですけど。干ししいたけがいる時に、お料理をしなきゃいけないので、ホテルじゃなくてアパートを借りるんですけど、エレベーター降りると醤油の匂いが廊下に漂ってて、「ごめん、これ私の匂いだ」って。(笑)
荒川  匂いに敏感な人は「あれ?何か美味しいもの作ってるってなるでしょ?」
臼居  日本人は美味しい匂いだけど、果たしてフランスの人には美味しい匂いかどうかわからないでしょ。
一同  あー。
臼居  換気扇つけっぱなしで出かけるんですけど、廊下に干ししいたけと醤油の匂いが漂ってねー。(笑)
一同  (笑)

MC  荒川さん、ご飯のつながりで大きな味噌汁のつながりで一曲行きましょう。
荒川  手嶌葵さんで「朝ごはんの歌」
MC  時刻は午後7時48分をまわりました。荒川デザイン・クリエイティブジャム。ただいまの曲は荒川さんセレクトで手嶌葵さん「朝ごはんの歌」です。
荒川  はい、まんま(話そのまんま)ですね。まんまなんですけど、シンプルな朝ごはんを作って食べてもらいたいっていう気持ちは一番料理の真髄かなと思って、曲選ぶならこれかなってシンプルに。
MC  この番組の提供は、株式会社ツインズと、ロジスティクスカンパニー、株式会社アンノウ。新たに人とモノ、文化のポータルポイント事業を展開していきます。こちらの2社のスポンサーの提供でお送りしております。

荒川  あと30秒くらいなんですけど、先週、上海で豆腐料理コンテストにも出席されて、金賞を受賞されたっていうのを聞いたんです。
MC  すごい!
荒川  豆腐の何料理で金賞をとったのかお聞きしたい。
臼居  豆腐を向こうでは生で加熱しないで食べるってあんまりないんです。
荒川  冷奴ってないんですか?
臼居  最近はあるらしいんですけど、基本的には加熱して食べるものなんです。で私はそこをついて、生ではちみつとココアパウダーを混ぜてミキサーにかけて豆腐クリームを作ったんです。もう一つは抹茶、それといちごを入れて白と茶色の層、白と緑、白と赤の層みたいなパフェを作って、生で食べるっていうのが面白かったです。
荒川  生でっていう逆手に取ったんですね。今度食べてみたいですね。(笑)
小野  それはスイーツなんですか?
臼居  スイーツなんです。甘いです。お豆腐を甘く食べるってないですよね。まぁ日本でもあんまりないと思いますけど中国人ちょっとびっくりしたのかも。

荒川  あっという間に時間が経ってしまいました。スポンサーのツインズさんが毎月発行している「月間ツイン」っていうのが今度は5月号です。茂木町と市貝町の里山というのを特集していまして、先月号は益子町の紹介だったんですが、今回は里山で農家をやってらっしゃる方とかにフューチャーしています。25日発売なんでぜひお買い求めください。あと、読売新聞の栃木県版で、最終土曜日に「ツインクル」っていうタブロイド紙が折り込まれてまして、これも茂木なんですけど、ドライブイン茂木っていう場所をフューチャーしてます。こちらも購読されてる方は28日土曜日折り込まれてますんで、ぜひ見ていただきたいなーと思います。次回(のラジオ)は5/5なんです。GWなんですけどやります!こどもの日なんですけどやります!第一土曜日なのでゲスト回ではなく、「傍らに映画を」をまたやります。映画のタイトルは「イエスマン」と「アバウト・タイム」の2本です。ぜひ5/5も聴いてください!
MC  ありがとうございました。この番組の提供は株式会社ツインズとロジスティクスカンパニー、株式会社アンノウ、新たに人とモノと文化のポータルポイント事業を展開していきます。こちらの2社のスポンサーの提供でお送りしましたー。
荒川  先生今日はありがとうございました。師匠もありがとうございました。中村さんもありがとうございました。
一同  ありがとうござましたー!