2018.7.7

ARAKAWA DESIGN CREATIVE JAM

ARCHIVE #17

2018年7月7日のADCJ第17回は、「傍らに映画を」を放送しました。七夕の話と「ラ・ラ・ランド」をテーマに現実と妄想の狭間の話で盛り上がりました。

MC  時刻は午後7時になりました。毎月第1、第3土曜日は荒川デザイン・クリエイティブジャムをお送りしております。今週は第1土曜日ですので「傍らに映画を」お送りします。この番組は株式会社アンノウの提供でお送りいたします。よろしくお願いします。
荒川  こんばんはー。荒川デザインの荒川サトシです。よろしくお願いします。
星井  宇都宮メディアアーツ専門学校の星井です。よろしくお願いします。
MC  パーソナリティーの中村長司です。よろしくお願いしまーす。
荒川  早いもので「傍らに映画を」は、もう4回目です。荒川デザイン・クリエイティブジャムでは「クリエイティブを声で届けたい」をテーマに、様々な表現をされているゲストをお呼びするゲストトーク回と、「観た人もまた観たくなる」をテーマに、映画作品を独自の視点で語る「傍らに映画を」の2つの企画で毎月2回(第1・第3土曜日)にお送りしています。番組中に質問、メッセージを受付けていまして、メールアドレスが773@miyaradi.com、FAXが028-666-7878です。ツイッターのハッシュタグでつぶやいていただいてもピックアップします。#ADCJでつぶやいてもらえるとメッセージをピックアップできますので、よろしくお願いします。

荒川  今日は七夕なんですよ。(笑)七夕なのでラジオを聴いてる場合じゃないって方もいらっしゃるかもしれませんが、スマホのアプリでも聴けるので、傍らに置いて聴いていただけると嬉しいです。昨日も、とあるバーに行った時に「仕事中に聴いてますよ」って言ってもらって嬉しいなーと思って。何かをしながらでも聴いてもらえるのがラジオのいいところなので、重くなく軽い感じで聴いてもらえたらいいなと思います。で、七夕なんですが、中村さんは七夕ってそもそもどんなストーリーか知ってますか?
MC  七夕は織姫と彦星が天の川で出会って、一年に一度のデートをする、そういう風な星祭りですよね?
荒川  カップルの話だと思ってますか?
MC  カップルの話しょ?じゃないの?
荒川  カップルではないんですよ。夫婦なんです。知らなかったですか?
MC  知らなかったです!
荒川  天の川云々の話の前に、織姫が一人娘で、機織りがすごく上手な娘さんで、そろそろ結婚の時期でお婿さんを探してた時に、働き者の牛飼いの彦星さんがいるから、って引き寄せるんです。それで、2人を引き合わせて結婚するんですが、結婚した後に仲が良すぎて仕事をしなくなるんです。(笑)織姫は機織りが得意なのに、機織りしなくなると、服が作れなくなって着るものがどんどんなくなる。彦星さんが仕事をしなくなると、牛が育たなくなって田畑が荒れ放題になってしまう。衣食住の衣食が、2人が働かないことで欠如するっていう世界に一変するんです。
星井  ニートですね。(笑)
荒川  結婚してニートっていうのはまた珍しいんですが…。
星井  憧れます。(笑)何もしなくていいんですよ?でも、思うんですが、仕事しないとか何もしない状況って1、2週間で飽きるはずですよね。それなのにこの2人はならないってすごい。(笑)
荒川  すごいですよね。普通なら不安になる…。そんな織姫と彦星なので、神様もブチ切れるわけですよ。「引き合わせたのは俺だけど仕事しないのはあかん!」って。そこで天の川が出来るんです。2人を物理的に離すために天の川を作って、直接会えないようにするんです。だから、(七夕は)ロマンチックな日なんですけど、元々は、そういう仕事をしない2人を裂くためだったんです。
星井  全然ロマンチックじゃない。バツみたいなものだったってことですね。
荒川  で、その後どうなるかというと、もちろんバラバラになるので、仕事はするんですけど、織姫さんは機を織りながらずっと泣いてるんです。彦星さんも抜け殻のようになって、互いにポカンと穴があいたような感じになる。それを見た神様も、自分で蒔いた種(織姫と彦星を引き合わせたのは神様)だけど見てられなくて、それを見かねて、今日7月7日、今日だけ会ってもいいよってなった。でも、川があって普通には会えないので、カササギがたくさん飛んできて今日だけ限定のカササギの橋を作るんです。それで、今日(七夕)だけ会えるんです。今日だけ会えるのをモチベーションにして、2人は泣かず、抜け殻にならずに仕事をしていく。…というのが、七夕の元の話なんです。
星井・MC  へぇ〜。

荒川  どうですか?ロマンチックですか?
MC  ロマンチックというか、何か現実的だし、いろんな解釈ができそうな気がしますね。
荒川  何か戒めみたいな感じがちょっと強いなぁと思って…。七夕をテーマにした歌とかって結構あると思うんですけど、大体ロマンチックな感じなんですよ。織姫と彦星がいわゆるカップルみたいなモチーフで歌われてる曲が多くて、この話を聞くと、織姫や彦星のようにはなりたくないな…って思いますね。
星井  そうですね、何かすごく出来た昔話なんだなって感じがしますね。なぜそこで願い事が出てきたのか…。
荒川  それはまた別なんですよ。七夕に短冊に願い事を書いて…というのは、中国とかで5色の短冊に(願い事を)書くっていうのがあるらしいんですよ。今、日本で言われてるのは、芸事が上手になりますようにってお願い事をする日らしんです。「字が上手くなりますように」「歌が上手くなりますように」とか、何かスキルアップを書くものなんです。だからサンタクロース宛みたいに「◯◯が欲しいです」とか「◯◯に行きたいです」とか、そういうのを書く日ではないんですって。(笑)
MC  何かこう…望んでもらえちゃうというか、自分の努力なしにもらえるというより、自分が努力してなるっていう心構えみたいなものを改めて表明するみたいなものですかね。
荒川  書き初めじゃないんですけど、何かこう…願い事なんだけど、スローガンみたいな…目標を書いて夢をお願いする。
星井  小学校で習った話と違いますね。七夕ゼリー食べてハッピー!みたいな感じとは違う…。(笑)
荒川  今日は素敵だね、空を見たいね、って感じじゃなく、意外と現実的な話なんです。
星井  そういう話をちっちゃい頃に聞いてたら全然違いますよね。
荒川  この話はいい話なので、じゃあそれを踏まえて、今日はどういう事を考えようか…ってなると七夕のイメージが変わる。

MC  ところで星井さんは、苗字に「星」って入ってるじゃない?これって結構良いことも悪いことも色々あるんじゃない?
星井  そうですね、苗字が星井なので、電話とかで「星さんですか?」とか間違えられる。あとは、星のモチーフが気になっちゃうとか…。自分の苗字と同じ人と、栃木県で出会ったことなくて。新潟には(星井の苗字が)多いらしいんですけど。自分の名前のルーツを調べると、新潟の侍の系列みたいです。
荒川  それで切れ味が鋭いんだね。(笑)
星井  切れ味がすごいってどういうことですかー!?(笑)
MC  トークで切っていく…みたいな。(笑)
荒川  切れ味もいい、見た目も綺麗な…。
星井  もういいですか?(笑)今日の映画の話をそろそろしましょう。(笑)

荒川  今日は何の映画ですか?
星井  今日は「ラ・ラ・ランド」です。今までは1時間で2つの映画作品を紹介してましたが、今回は一作品で絞っていこうと思います。七夕なので、男女関係の恋愛、年に一回しか会えない2人の関係を紐解いていくと、「ラ・ラ・ランド」も最終的にはだんだん会えなくなってしまう2人の恋愛映画になっていく、ということで、ちょっと(七夕と)かぶせて話していけたらな、と思います。
荒川  話す前に一曲いいですか?「ラ・ラ・ランド」といえば、オープニングの曲が印象的なので、サウンドトラックから、「Another Day Of Sun」

MC  時刻は午後7時20分をまわりました。荒川デザイン・クリエイティブジャム。今週は「傍らに映画を」お送りしております。この番組は、新たに人とモノと文化のポータルポイント事業を展開していきますロジスティクスカンパニー、株式会社アンノウの提供でお送りいたしております。ただいまの曲は「ラ・ラ・ランド」のサウンドトラックで「Another Day Of Sun」でした。
荒川  (映画の)オープニングは圧巻だと思うんですけど、カメラワークもそうですけど、あの場所、ハイウエイを貸し切って車、あの人数の人たちが踊って…っていうのがすごいですよね。
星井  そうですね。映画の冒頭でこのシーンが来て、一気に引き寄せられてしまう。観ていて一発目で「あ!楽しい映画だ」って感じるあのトリックがいいですよね。
荒川  実際撮影した時、リハーサルの時には、あれだけ動きがあるのでカメラを担いで撮るのが大変なので、iPhoneで撮ったりしたらしいですよ。メイキング(映像)とか観ると結構面白いです。
星井  iPhoneで撮れるんですね。すごい。
荒川  結構、(映画のシーン)暑そうだったんじゃないですか?撮影の日。車のボンネットとか暑いだろうなぁって思うんですけど。(笑)女の人が背中をジューってしてるところとかあるんですけど、暑かろうなぁ…と。トラックの後ろにドラムとかバンドとかが潜んでて、扉が開いてドコドコッて(演奏)するシーンがありますけど、ずっとスタンバイしてる間、すごく暑いと思うんですけど、それが微塵も伝わらないところがすごいなーと思って。暑そうじゃない!(笑)あの映画のシーンは、(車が)渋滞してて若い人達がいっぱい乗ってて…というのは、ロサンゼルスはハリウッドとかもあって、夢に憧れて、みんなが夢を叶えようとして来る場所なので、それが渋滞を表してるんです。詰まっていて中々前に進めない。みんながスターダムに登ろうとしてるので渋滞してるわけですよ。まさにそこで主人公2人が、渋滞に巻き込まれてて…というところから始まるんです。

星井  最初2人は険悪なムードでしたよね。クラクション鳴らされたりしてイライラしてました。主人公の女性の方と男性の方の車の車種の感じが全然違うんですよね。今風なものと、ちょっとビンテージ感があるもの。あれを見た瞬間、全然相まってない2人だなって感じましたね。
荒川  プリウスとクラシックカー。
星井  ああいうところも凝ってるなぁと思いました。
荒川  前半で、パーティーのシーンがあって、鍵を探すシーンがあるんですけど、ほぼほぼプリウスの鍵。(笑)わざとですよね。(笑)別にプリウスじゃなくてもいいと思うんですけど、一種のステイタスというかエコカーの象徴というか…。個性がないというところが出てるのかなぁと。
星井  (主人公が)売れない女優っていう設定だったしね…。
荒川  右にも左にも同じようなプリウスがあったら選びようがない。どれでも一緒だなってなる。(主人公の女性も売れない女優でリンクさせてる。)かといって、(主人公の男性みたいに)セブみたいにクラシックカーでカセットテープでジャズ聴いてたらそれはそれで癖がありすぎて…「カセットテープかー、iPhoneじゃないの?」ってちょっと癖がありすぎて扱いに困るじゃないですか。それとか、主人公の男性は、ジャズバーで働いてて、「クリスマスなんで、クリスマスの曲弾いてくれよ」って頼まれても、嫌なんですよ。アレンジとかし始めてアマノジャクなんです。共感もしますが…。(笑)
星井  ホントにこの映画は映画館で観るべき映画ですよ。私と中村さんは映画館で観ましたよ。
MC  やっぱりハイウエイのシーンとか、バックに街の灯が見えてるとこで2人がタップしてるところとか、あのスケール感は映画館(で観るべき)だよねー。
星井  そうですよね。映画館で観ました?
荒川  自宅で観ました…。
星井  え?!こんなに話してるのに…。(笑)
荒川  昔「タイタニック」が流行った時があったじゃないですか。「タイタニック」が流行った時も観に行ってないんですよ。「ラ・ラ・ランド」も盛り上がった時に観に行ってない…。すみません。(笑)
星井  (笑)でも、そういうアマノジャクの方に、今この機会に(この映画を)観てもらいたいですよね。
荒川  そうですね。アマノジャクでもどう生きていくのか?というのを。
星井  もがいてるんですよね。
荒川  そう。主人公はどうアマノジャクを直そうという映画じゃなくて、アマノジャクとどう向き合おうかというところなんですけどね。

星井  この映画で、初めてミュージカル映画を観たっていう人が増えたんですって。私も本格的に観たのはこれが初めてで、最近観た「グレイティスト・ショーマン」も観にいくきっかけになりました。ミュージカル業界も盛り上がってきてて、今度、劇団四季も観に行くんです。ホントにちょっとハマったなーって感じです。
荒川  劇団四季で言うと、演出の方変わったんですよね。今までは演出家の方が両手を振って右から左へまで指示してやってたんですけど、今やってる「恋するシェイクスピア」は、歌がほとんどないらしいんです。ミュージカル調じゃないんです。で、稽古の最中も、今までの演出家さんだったら全部指示して、演者の方もそれに従うことによって完成してた舞台なんですけど、新しい演出家の方は、演者さんに問いかけて、「どうしたらいいか?」を考えさせる演出をする手法なんです。だから、最初は戸惑いがあったらしいんです。「恋するシェイクスピア」も、物書きの人が苦悩するシーンから始まるんですけど、主人公の役の人が「どうやったらいいかな」って悩むわけですよ。演出家の人は教えてくれないので、自分自身が本当に苦悩して、演出どうしたらいいのか…っていうのをそのまま出そう。そのまま演技して、「書けない、どうしよう」というのを、自分が今までやって来なかったような演出のされ方で苦悩することとオーバーラップさせて、最初のシーンを演じたそうです。
星井  へぇー、人間臭くていいですね。
荒川  元々、劇団四季自体はオリジナルの作品を作ってた劇団だったらしいんです。だから社長さんも、今後20年、30年後の礎を築くために変えよう、ってことで、今までのものをトレースするだけじゃなく、新しいものを演者さんが考えて、一緒に作り上げよう。バック・トゥ・ザ・ベーシックって感じで、元の劇団四季の形に…って変わってきてるらしいです。
星井  へぇー。何かずっとこれでやってきたからこのままで良いだろうって思う人が多いなぁって日常的に思ってて、でも世界も人間の質も変わってきてるから、やっぱり変えないといけない対応力っていうのが求められてるのかなーっとは思ってて…。
荒川  しんどいと思うんですけどね、変わるってことは。どうしても、自分自身でこういう動きをずっとしてたっていうのを変えるにはよっぽどのエネルギーがないと変えられないし、そもそも変えようと思ってるのかな?っていうところもあるんです。口では変えるって言ってても、本当は変える気がない…。そこからひっくり返すのは相当大変なんだろうなーって。自分自身で考えてやるのはいいですけど、人にそれを伝えるってなると、もっと大変。人に何かを教える教育の現場とかで伝えるとなるとたぶん難しいんだろうなーって思います。

星井  中村さんは自分の中で何か変えたいことはありますか?何か変化とか…。
MC  いきなり来ますね。(笑)でも何か分かるような気がしますね。変えるというよりも、少しずつでいいから成長したい。昨日よりもちょこっと上手くなってるとか良くなってるとか、そうでありたいなって思います。
星井  そういうの素敵ですよね。向上心がある人が普通だと思ってたら普通じゃないんです。本当にちゃんと変えたいとか日常的に思ってる人は少ないのかな…って色々考えて思うんですけど…。「ラ・ラ・ランド」もそうで、ライアン・ゴズリングさんが演じる主人公の男性が、自分のそのままのやり方じゃ生活出来ないんです。売れなきゃいけない、生活しなきゃいけない…って考えた時に、今流行りのクラブミュージックとジャズを一緒に並行して出来るのか、仲間に誘われて弾き初めるシーンが苦しいですよね。主人公の彼女役のミヤが、「今まで聴いてたジャズの感じじゃない、彼が違う音楽を弾いてる、彼がどこか遠くへ行ってしまうんじゃないか…」っていうところが私は観ていて胸が苦しかったですね。あれは「のだめカンタービレ」っていう映画があるんですけど、あれでも同じシーンがあって、玉木宏さんがどんどん上の世界に行こうとするコンクールを受けてた時に、上野樹里さんが「一緒に歩けないじゃないか」って、自分のことばっかり考えて相手のことを考えてあげれてないっていう描写が上手いなぁって。だからどうにか自分でもやりたいって思って、主人公の女性ミアが自分の中でいろんなことを変えてくっていう、あの力量というかメンタルの強さがカッコイイなって思いました。たぶん、何かを変えるっていうのは、相当気持ちが持ってないと変わらないんじゃないかなって…。
荒川  批判も言われたりするんですよね。ミアも一人舞台で書き始めて練習してやろうっていうのは不安でいっぱいだと思うんですよ。
星井  そうですね。この映画って、すごい明るいシーンからだんだん暗くなっていって、最終的にはズーンってくる映画で、そのギャップが余計に楽しめるのかなーって思います。
荒川  季節もちゃんと表現されていてそれもリンクしていていますね。盛り上がったりする季節と、盛り下がる季節と…。

星井  この「ラ・ラ・ランド」を制作した監督が前作で「セッション」っていう映画をやっていて…観ましたか?
MC  あー!そうなんですか?!だからクラブのオーナー(JKシモンズ)が出てましたね。
星井  あの映画、ずっと観ていて苦しくないですか?
MC  最初から最後までずーっと…。
星井  「ラ・ラ・ランド」だと思って(「セッションを」)観た人、たぶんいるんじゃないかな?
荒川  確かに、「ラ・ラ・ランド」観た後に「セッション」観ると、ずっと戦ってるのかな?ずっとドラム叩いて、ずっと怒鳴ってる人の映画ってね。(笑)監督自身が学生時代にずっとジャズの厳しいところにいてて…っていうのがベースにあるんですよ。厳しく教える先生がいて、そこで挫折までいかないけど、ついていけなかったっていう話が「セッション」のベースにはあるんですよ。「ラ・ラ・ランド」の中にもジャズをどうするかっていう話が入ってるんですけど…。「セッション」の話でいうと、ドラムを叩きすぎて血豆とかが出来て血だらけになるんですよ。それは、演者さんの本当の血なんですって。叩きすぎて本当に血豆ができて血だらけになってるんです。
星井  えー…すごい…。何であんなに叩けるんだろうって思ってたですけど…。あの映画も中々ですよね。

荒川  (「セッション」を)観ていて、「あれはもう嫌だ」っていう人と、あれを美化して観るっていう人もいると思うんですよ。カッコイイっていう言葉の表現で観る人もいるって聞いたりするし、あとは、何か仕事でも、一つのものを突き詰めようって強烈にやってる人とかは、異常なものを求めたりすることがあるわけですよ。デザインとかでも、1ミリ単位の調整とか、1ピクセルずれててるからどうのこうのとか…。周りの人がフワッと見たら1ミリとか1ピクセルのズレっていうのは気づかないかもしれない。「セッション」で言ったら、テンポが違うっていうシーンがあって、主人公がこのテンポで叩けって言って叩いても「違う、早い」「遅い」ってすごく気にするんですけど、観てるほうは全然分からないんです。リズムに合って叩いてるのに早いとか遅いとか…。本当に微妙な、こだわりの更に上のこだわりを仕事でやってる人を見ると、たぶん共感する部分もあるんです。ただ、ほんとにシンバルを投げつけるとか、精神的に上げて下げて追い詰めるパワハラみたいなあの手法は、やっぱりよろしくないなーと思って…。まぁ映画(の中の話)なんですけどね。
星井  そうですね、世代によって全然違うと思うんですけど、中村さんと、荒川さんと私の世代でも、年齢が20歳くらい違うから…。(映画を)観ていて、「求めてるものを相手に押し付けるのが美徳」みたいな「セッション」の監督と、「本来やりたかったことがどういう意味でやってたんだろう」って悩んじゃう学生の様子を観てると、(教える側は)無理やり何かをさせてるっていう感覚を持たないと、教えちゃいけないんじゃないかなーって、観ていて学びましたね。仕事に生かさないとなぁ…って思って。教育の現場で働いているので。何かこう…「自分が苦しんだからお前も苦しめ」みたいなところを感じると「嘘やん!?」っていうところが意外と多いですね。自分が苦しんだんだったら、次は軽くしてあげようっていう感覚の人と仕事するって大切だなぁと思いました。中村さんどう思われますか?どっちですか?
MC  それはやっぱり変革というか…、今までやってきたことを踏襲して、今まで自分達が受けていた苦しみだとか、こうしないと上手くならないってことを次の若い世代に強いるってことは、そこには何の変革もないんだよね。だから、星井さんの言うように、そういう苦しみじゃなくて、自分なりに、上手くなるためのストレートな努力を教えられるようなスキルを自分も持たないといけないんですよね。
星井  そうなると、変化していくんでしょうね。今いる現状をどう変えるかっていうのは、色んな映画を観ていて思いますね。「このままでいいのか」「これはこうやったほうがいいんじゃないか」って自分で色んな意見が出るのが、(映画を)観ていて面白いところなんじゃないかと思います。特に「ラ・ラ・ランド」はミュージカルって言いますけど、歌いながらセリフを言うシーンってそこまでなくて、逆に歌を挟んで曲を入れているので観やすいかなーと思います。
荒川  セリフのシーンとか、感情がぶつかり合うシーンとか必ずありますからね。
星井  何かその時の主題歌を歌ってるって感じですね。
MC  なるほど、その場面場面でテーマ曲を歌ってるみたいな…。
星井  「グレイティスト・ショーマン」は逆に本当にセリフを歌ってる感じですけどね。
MC  そうそう。でもあれって、音楽は(「ラ・ラ・ランド」と)一緒なんだよね?
星井  そうです。チームとかも一緒で作曲も一緒です。同じ人達が作っても全然違いますよね。そう思うと、軽く観れるのは「グレイティスト・ショーマン」なのかなと思います。
荒川  時間も一番短いしね。「グレイティスト・ショーマン」はまた別の(ラジオ)回でやりましょう。語るところがいっぱいあるので。じゃあ曲行きましょうか。同じくサントラから「City of Stars」。

MC  時刻は午後7時44分になりました。荒川デザイン・クリエイティブジャム。今週は第1土曜日なので「傍らに映画を」お送りしております。只今の曲は、ライアン・ゴズリング、エマ・ストーンで「City of Stars」でした。この番組は、新たに人とモノと文化のポータルポイント事業を展開していきますロジスティクスカンパニー、株式会社アンノウの提供でお送りしております。ありがとうございます。
荒川  映画が最後のほうになると、すごく印象的な回想のようなシーンがあって、今回、妄想っていうのを少しテーマで持ってきたんですけど、このシーンは、人によっては「あれがハッピーエンドで、劇中の現実の終わり方がバッドエンドだ」っていう方もいれば、「あれ(あのファンタジーな世界)はハッピーじゃない。確かに子供が出来て幸せな結婚生活かもしれないけどハッピーじゃない」っていう見方もある。どっちでも観れる。これが正解ですよっていうのを最後に出さない終わり方をして、いるのが、すごく余韻があっていい終わり方だなって思います。「ラ・ラ・ランド」っていう言葉自体も、夢、幻というか、夢に浸ってるとか、ロサンゼルスイメージとか、浮ついた感じとか、色んな意味を持つスラングなんです。ロサンゼルスのLAも入ってますし、自己陶酔した周りが見えない状態も「ラ・ラ・ランド」らしいんです。それが映画のタイトルになってて、最後の最後に、そういう妄想がほとばしるシーンがあって、主人公2人共が、当初思っている夢を叶えるんです。でもそれが正解かどうか分からない。でも…っていう所があって、そこをどう捉えるか。共感の仕方はそれぞれ色々あると思います。
星井  なんか大人の初恋みたいな感じですよね。「叶えられたらよかったけど、現実的に厳しかった、でもそれは夢の中ではハッピーエンドにさせて」っていう2人の願いなのかもしれない。でもややこしいですよね。(笑)
荒川  え?どういう事ですか?
星井  自分の彼氏とか彼女に忘れられない人がいて、夢の中で妄想までしちゃう人がいたらややこしいじゃないですか?いてほしくないじゃないですか。(笑)「あの人今どうしてるのかなー?」って今隣に私がいるのに言われたら…。(笑)
MC  それはあるでしょうねー。
荒川  想ってる人とかいますか?
MC  え?!(笑)これ(ラジオ)みんな聴いてるよ!
星井  (笑)
荒川  まぁボク個人としては、想っててもいいんじゃないかと思いますけどね。人を想うってことは素晴らしいことじゃないかなと思います。制度的に色々あったり、状態的に色々縛りが合ったり、取捨選択しないといけなくて、トレードオフしないといけない時とか、仕事でも恋愛でも色々ありますけど、想うっていうのは自由でいいんじゃないのかなと思います。そこを遮って何かをするのもちょっとどうなのかなって思います。眼の前にいるのに別の人の事をいいな、いいなって言うのはちょっとおかしいですけど。(笑)それはおかしいですよ。でも脳みそは基本は反射の行動で、意思がそんなにあるわけじゃないんですよ。何か刺激、例えば目の前に星井さんがいるとか…によって、反射で動いてて、脳がすごく考えて言ってるわけじゃないって考えて思ってもいいんじゃないじゃないかなと思いますけどね。(笑)
星井  はい、わかりました。(笑)もうエンディングですね。

荒川  次回の予告を。次回7月21日7時からです。ゲストは2回目になるんですが、安納道さんです。月刊ツインの新編集長として、6月からバリバリされているので、僕もADとしてやってますので、その話とかクリエイティブな話とか色々したいなって思います。
MC  楽しみですね!
荒川  今夜も荒川デザイン・クリエイティブジャム第17回、中村さん、星井さんありがとうございました。
一同  ありがとうございました!